木目の美しさと木の温もり溢れる山中漆器の選び方を知る

喜八工房
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山中漆器とは

山中漆器とは
山中漆器とは、石川県加賀市の山中温泉地区で生産される挽物技術により作られる漆器のことで、芸術性が非常に高く木目の美しさと手に伝わる温かみが特徴となっています。山中塗(やまなかぬり)、山中木地挽物(ひきもの)とも呼ばれています。

※挽物(ひきもの)とは、木材をろくろ(轆轤)や旋盤でひき,椀,鉢,盆など円形の器物をつくる技術およびその製品のことを言います。

石川県はもともと漆器作りが盛んな場所で、輪島市で生産されていることで有名な「輪島塗」に加え、蒔絵が特徴的な「金沢漆器」そして今回紹介している「山中漆器」はそれぞれ「塗りの輪島」、「蒔絵の金沢」、「木地の山中」と称されています。

大正期には宮内御用達の品ともなるなど、全国各地の漆器産地の中でも、山中漆器のろくろ挽きは、他を寄せ付けない高度な技術で生産数は全国一を誇っています。

山中温泉はこのあたりにあります。

※画像はクリックしても拡大表示されません。

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map via 山中温泉

山中漆器の「ろくろ」の技術

山中漆器の製作工程についてはこちら動画がとても参考になります。

漆器の生産工程には大きく分けて木地、塗り、蒔絵の工程があり、通常は以下ような職人により分業作業を行っています。

  • 木地師
  • 下地師
  • 塗師
  • 蒔絵師

この構成は産地によって異なるのですが、山中漆器はとりわけ木地師が多い産地として知られており、およそ30ほどある木地師達により天然の”木の塊”が木地師の熟練の技によりくりぬかれ、美しい形に整えられていきます。

始まりは安土桃山時代

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photo by 山中漆器連合協同組合:手挽きの図

山中漆器の歴史はおよそ400年前、安土桃山時代まで遡ります。

挽物(ひきもの)の器をつくって生活していた木地師の一団が山中温泉上流の真砂に定住して木地を挽きはじめたことが起源と言われています。

※木地師(きじし)とは、轆轤(ろくろ)を用いて椀や盆等の木工品を加工、製造する職人のことです。轆轤師とも呼ばれています。

その後、職人達は会津、京都、金沢などから塗りや蒔絵の技術を取り入れながら、ふもとの温泉客を中心に商売を行うようになり「山中漆器」そして、その産地として「山中温泉地区」は人々に知られていくことになります。

このような長い歴史を持つ「山中温泉地区」は、この挽物産地としてその職人の規模・質及び生産量において、全国の挽物産地の中でも群を抜いています。

それは、木地師としては初めて人間国宝に認定された川北良造氏など多数の木地師がいることからも理解することができます。

山中漆器木地師 川北良造

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川北良造

川北良造(かわきたりょうぞう、1934年9月1日 – )は日本の木工芸家。1994年認定の重要無形文化財(いわゆる人間国宝)「木工芸」の保持者。木工芸の人間国宝としては5番目の認定者。

著書に「木と生きる、木を生かす―木地師千年の知恵と技」がある。

photo by 石川県挽物轆轤技術研修所

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木と生きる、木を生かす

― 木地師千年の知恵と技 Amazonで見る

木地挽きの工程

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1.縦木(たてき)による木取り

お椀の仕上がり寸法より3~6mm高く製材し、9mm以上大きく輪を描いた後、8角から12角に切り出します。

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2.荒挽き

轆轤(ろくろ)にかけ、内径・外径ともに仕上がり寸法より6~9mm余分にして、乾燥しやすい型に挽きます。この後、50~60日間養生させ、水分が12%程度になるまで乾燥させます。これは木の動きを止めるための重要な工程です。

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3.中荒挽き

養生させた材料を内外とも3mm位の余裕をもって中荒挽きを行い、再び30~50日間養生させ、更に水分を10%くらいまで乾燥させます。 こうすることにより、材料は空気中の乾湿による膨張、収縮が殆ど停止した状態になります。

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4.仕上げ挽き

最初に外側を挽き、次に内側を挽きます。その際に使う鉋(かんな)、小刀(こがたな)の数は写真のお椀で10本前後です。これらの刃物はすべて職人の手作りです。

All photo by 山中漆器連合協同組合

山中漆器は歪みにくい

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山中漆器は、「竪木取(たてきどり)」した材料からつくられており、木が育つ方向に逆らわずに加工できるため、歪みが出にくくなる特徴があります。そのため椀のような一般的な形状はもちろんのこと、薄挽きや蓋物などといった精巧な仕上げも得意としています。

おすすめの山中漆器は?

これまでにご紹介してきましたように山中漆器連合協同組合に所属し、山中漆器を生産する職人はたくさん存在します。

組合一覧はこちらでご確認いただけます。

山中漆器連合協同組合会員の一覧

数ある中から当サイトがおすすめする山中漆器は、喜八工房による山中漆器です。

喜八工房について

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photo by postdetail

喜八工房とは

喜八工房は、もともと山中漆器の上塗師であった二代目喜八氏が明治15年(1882年)に創業した工房で、山中漆器一番の老舗です。

  • 所在地:〒922-0111 石川県加賀市山中温泉塚谷町イ323
  • 創業:明治15年(1882年)
  • 代表取締役:6代目当主 酢谷喜輝
  • facebook 喜八工房 金沢東山店

喜八工房の使命

喜八工房は彼らの使命として以下のように述べています。

手作りということを最良としながらも、旧来のやり方に固執せずに、長年の研究と知識の蓄積による柔軟な発想で、多くの人に使って頂ける、プロダクトのもの造り。

「沢山の人に使ってもらえること」、「沢山の人に喜んでもらうこと」を念頭に旧来のやり方に固執せずに、柔軟な発想により常に現代の人々を魅了するものづくりに挑戦している喜八工房の製品は、伝統的な高級品から日用雑器まで、幅広いものづくりを手がけている。

漆器の材としては珍しい樫をロクロで挽き上げた白木のお椀などは、漆器では表現できない木の質感や大胆な年輪が際立ったモダンな作品は、新しい作品作りに常に挑戦し続ける喜八工房のものづくりの対する思いを垣間見ることができるものとなっています。

現在は、6代目酢谷喜輝氏を当主となり、伝統を重んじながらも、常に革新的作品の製作に力を注いでいます。

酢谷喜輝氏は以下のように語っています。

漆器をより多くの人に使ってもらいたい。求めやすい価格の良質な漆器を日々の生活に取り入れてもらいたい、使い込むなかでの傷みや経年変化をも楽しんで、自分だけの漆器に育ててもらいたい。漆器を使う人が喜ぶ、それが私の喜びである。

喜八工房の山中漆器の選び方

喜八工房では、塗りの種類として以下のものがあります。

  • ナチュラル(脱・漆)
  • 素地そのもののように自然な印象のウレタンクリア塗装で仕上げ 洗いもらくちん
  • 拭き漆
  • 溜布張
  • 朱・黒の漆

ナチュラル:樫(かし)

喜八工房_ナチュラル一覧
脱・漆&樫独特の味わい

常に新しい器にチャレンジする喜八工房が提案する器です。

脱・漆(ナチュラル)として、木の質感や木目をより一層強調させるため、ウレタン塗装で仕上げており、漆では出せない木地そのままのような質感を感じることができます。

漆器の材としては珍しい樫(カシ)をロクロで挽き上げており、樫独特の虎斑がお椀の模様となり、味わい深い表情を見せてくれます。 白木のお椀は新鮮で食卓を美しく演出します。

ウレタン塗装を施してありますので、漆仕上げと同じように汁気、油分のある料理にも使用でいますし、スポンジと洗剤で洗えます。

こちらのタイプは、G型、U型、Y型の3種類ありそれぞれ汁椀・飯椀・小鉢などとしてご利用してみてはいかがでしょうか。

ナチュラル:栓(せん)

喜八工房_栓_ナチュラル

モダンな雰囲気が魅力の木材の栓(セン)を、ろくろで挽き上げた「鉄鉢」です。

鉄鉢とは
鉄鉢(てっぱつ)とは、僧が托鉢(仏教の修行)の際に用いた鉄製の丸い鉢の事です。

その鉄鉢からインスパイアされ作られたこちらの器は、ボウルの縁が返しの様に作られているため、こぼしにくく、最後のひとすくいまでキレイに食べられ子供でも使いやすいことから別名「キッズボウル」とも呼ばれているそうです。

漆器の材には国産の栓を用いて喜八工房の持つ高い技術で、器としての使用に耐えうる極限の薄さに挽き上げておりその美しさは目を引くものがあります。

脱・漆(ナチュラル)としてウレタン塗装を施しており、無塗装の白木のままのような艶消しのナチュラルな質感に仕上げてあります。

取り扱いに関してもウレタン塗装を施してありますので、漆仕上げと同じように汁気、油分のある料理にも使用でいますし、スポンジと洗剤で洗えます。

栓素材のナチュラル仕上げは大きさの違いにより5.0から10.0まであり、サラダや煮物、スープやカレー和洋を問わず使い道の多いボウルです。

拭き漆:欅(けやき)

欅椀
niguramu特注の欅椀

優れた商品セレクトで人気のオンラインショップniguramu(にぐらむ)さんが喜八工房さんに別注製作を依頼した「欅椀 拭き漆」です。漆により濃く染まった木目が際立ちます。

漆器の材としては珍しい樫(カシ)に拭き漆仕上げを施しています。この漆仕上げは日々の使用のうちに、徐々に明るい色合いへと変化し、自分だけの愛着のあるお椀へ変わっていきます。

こちらのタイプは、G型、U型、Y型の3種類ありそれぞれ汁椀・飯椀・小鉢などとしてご利用してみてはいかがでしょうか。

溜布張:欅(けやき)

欅_溜布張
欅と布

国産欅を木地に、縁には綿の布を着せ、顔料、染料を混ぜていない漆を塗り重ねた「欅(けやき)溜布張」は喜八工房の古くからの定番椀として知られています。

ブロックに分かれたのグラデーションを、色と素材で楽しむことができます。

欅 溜布張には以下の4商品があります。

朱・黒:欅(けやき)

朱_黒
ロングライフ

国産の欅(ケヤキ)に、あえて下地を施さず、漆だけを塗り重ねてつくった「ロングライフ」な椀です。使い込む事により漆が擦れて下塗りの色が出てくる事も想定し、それを活かすように考えられています。

朱のお椀には黒、黒のお椀には朱の漆が下塗りされ、独特な木目が浮かび上がります。あらたまった場面でもカジュアルにも使えるデザインが特徴的です。

漆器の黒には他のどんな素材にも出せない深みがあり、赤(朱)はシンプルな盛り付けの料理を品よく彩ります。使えば使うほどなじみ、自分だけの愛着のあるお椀へと変わっていきます。

山中漆器のお手入れ

山中漆器の取り扱いは、おどろくほど簡単です。一生ものとして長く使い続けることができるよう以下のことに注意していきましょう。

  • 洗う

    • 一般的な中性洗剤と台所洗剤を使いやさしく洗います。
    • タワシや磨き粉や硬いスポンジなどでゴシゴシ洗うと細かい傷がつき肌つやが無くなりますので使用は控えるようにしてください。
    • ご飯などのこびり付き汚れがある場合は、他の洗い物より先に湯水につけてふやかして洗うと取れやすくなります。

    乾燥

    • 自然乾燥でも問題ありませんが、水気を拭きあげると肌つやがよくなります。
    • 長時間直射日光を浴びないところに保管するようにしましょう。
    • また食器洗浄機や食器乾燥機は木地と漆塗膜をいためるため使えません。
    • 電子レンジも、いたみの原因になりますのでご使用はできません。
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